ワイアット・アープは実在、決闘も
ウィキペディアを調べてみると、有名なジョン・フォードの「荒野の決闘」もこの決闘の話を題材にしたもので、「OK牧場の決闘」ともに史実とはかけ離れたアクション映画との評価がなされていた。
だが、決闘までのプロセスは違うとはいえ、保安官を務めるワイアット・アープの一家と、クラントン兄弟が対立し殺し合ったというのは事実だった。架空の人物とまでは思わなかったが、架空のストーリーの中に、これらの人物をはめ込んだというわけではなかったのだ。
ドク・ホリディは結核病み
フランキー・レーンが歌うディミトリ・ティオムキン作曲の主題歌で始まるこの映画は、前半はワイアットアープ物語という要素が強い。町のもめ事を仲裁し、美人の女ばくち打ちローラ・デンボーとの恋。ドクはドクで、いかにも結核病みの雰囲気で、愛人ケイト・フィッシャーと痴話げんかを繰り広げる。個々のエピソードを見ていると、子供のころ見ていたテレビ西部劇とあまり変わらない。
体さらした撃ち合い
クラントン兄弟とヴァージル、モーガンらアープの兄弟の対立は決定的となり、アリゾナ準州トゥームストーン郊外で銃撃戦となる。史実では1881年のこと。防弾チョッキもヘルメットもないこの時代。せめて、厚板の盾ぐらい持ったらと思いたくなるような体をさらした撃ち合い。太平洋戦争終戦からまだ12年、戦争に出かけた兵士たちもまだ記憶が生々しい時期のはず。西部劇とはいえ、こんな無防備な撃ち合いを受け入れられたのかなあ。
アープは西部劇アドバイザー
ドクの助太刀もあって戦いはあっという間に決着がつく。アープ側はクライトン兄弟を圧倒したが、兄弟にけが人が出る。映画ではあくまでもワープ側は善玉なので死者は出ない構成になっていた。
実際にはこの戦いは、保安官対ならず者という図式ではなく、私闘の扱いで,ワープ側はその後起訴されたそうだ。結果的には無罪になったが、ワープはカリフォルニアに移り、なかなか厳しい人生を送った。だが、その後、西部劇の巨匠となるジョン・フォードのアドバイザーのような仕事に就いたという。よーするに自分の人生を虚実織り交ぜながら、話したことが映画化されたということのようだ。
悪玉はみんな独身、善玉には妻子
この映画に限ったことではないが、西部劇ではホントに人が多く殺される。ちょっとしたことで銃を抜き、ぶっ放す。あれでは、人口なんて増えるはずがないわ、と思う。それになぜか悪玉は女遊びは好きだが、妻子がいない。これも、当時(映画公開)のアメリカ人の発想のようなものを反映していたのだろう。
太平洋戦争後、アメリカが最も繁栄した時代もベトナム戦争の泥漿化とともに終わりを告げ、アメリカンニューシネマが台頭する一方、OK牧場のような勧善懲悪西部劇は姿を消していく。西部劇も、サム・ペキンパーのようなバイオレンス映画へと変化を遂げる。考えてみると、日本の時代劇の変化も同じようなパターン。戦勝国と敗戦国
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