300個も実をつけていた
両親が地上から消え去り、日常的に世話をする人がいなくなって8年。最初の2年は300個以上の実をつけ、収穫も1日がかりだった。いずれもきれいな実ばかりで、汚れなどまったくついていなかった。食べ切れなぐらいたくさんのマーマレードを作った。自分で伸びすぎた枝を切り、いびつな形となったためか、少しずつ減り始め、150個前後になった。
異変、びっしりとカイガラムシ
ところが2015年から16年にかけ、異変が起きた。夏場につけていた小さな実が成長せず、年明けに採取したときは50~60個しかなく、それも大半が表面に黒い斑点がつくすす病になっていた。
樹木を細かく観察し、原因は間もなく分かった。幹や枝葉にびっしりとついた白い小さな虫。フジカイガラムシと思われる害虫だった。2017年6月、ヤツらが増殖する時期を狙って、侵された枝葉を落とした。しかし1カ月後見たときは再び増え始めており、本格的な駆除作戦を決意。1月に50~60個ほどの夏みかんを収穫した後に、シルバー人材センターに依頼し、せん定をした。8000円だった。
枝葉をせん定、農薬散布
枝葉の大半にカイガラムシが付着していた。「思い切り切って」と頼んだ結果、夏みかんはほぼ太い幹を残すだけになった。幹の途中から伸びる新しい葉は実をつけないから、残しても意味はないとシルバーさんからアドバイスも受けていた。
次に着手したのが、農薬散布だった。カイガラムシに効くというのマシン油製剤。いわゆる農薬と違って、機械油を加工して農薬のようにした物で、虫を油で覆って窒息させるようだった。ホームセンターで、柑橘類のカイガラムシ対策として、冬の間、よく出回っていると聞いていた。
春になっても新芽が出ない
規定通り希釈し、手押しポンプの散布機に入れ、せっせと散布した。ほとんど丸はげ状態になっており、かなり丁寧にまいた。そして4月、「あれっ」と思った。例年なら出てくるはずの新芽が全く出てこないのだ。枝の先はせん定されたままの状態だ。
5月になっても変わらなかった。幹のかなり下部から枝が1本だけ伸びていたが、青い葉をつけたのはそれだけだった。
何が失敗だったのか
8月になると、さらに木は弱まっていた。あちこちで表面の皮がはげ、白い幹の内部がむき出しになっていた。「たぶん、先の方は枯れている。根元の新しい枝だけで再生するかどうか」と多少、草木に詳しい知人が話した。もちろん、小さな実などもどこにもない。悔しいことにほとんど枯れかけた幹にもカイガラムシがついていた。
しかし、どうしてこんなことになったのだろう。せん定した量が多すぎたのか、マシン油製剤の影響か。突然、寿命が来たなんてことはあり得ないだろう。すす病が残ったにしろ、何もしなければここまで悲惨なことにはならなかったはず、ど後悔ばかりしている。ホントに悲しい。
0 件のコメント:
コメントを投稿