2018年8月30日木曜日

面白かった「カメラを止めるな」みんな見てとしか言えないけど

パクリがあろうとなかろうと


 ちまたで人気の映画「カメラを止めるな」を見た。面白かった。2年前、長期療養を終えて、月に1、2度ぐらい映画を見るようになったが、その中でも一番面白かった。映画が終わって「面白かったね」と話しながら、劇場を出て行く観客の姿を久しぶりに見た。映画館に出かける直前、テレビのワイドショーでパクリ問題が起きていることを知ったが、そんなあちら側の話はともかく、素直に楽しめた。

 基本的な情報として、監督&俳優養成スクールのプロジェクトとして2017年制作。SNSで評判となり、すでに180館以上での上映拡大が決まり、大ヒットが続いている。制作費は300万円の超低予算。自主映画に毛が生えたようなものだ。


 ここからはネタバレご注意。


謎解き、いや楽屋落ち


 それにしても、こんな面白い展開、よく考えついたものだ。冒頭の37分ワンカットのゾンビ映画。途中、何だか不自然なことがいっぱいあったが、その理由が明かされていくとき、ホントに笑え、ホントに楽しかった。どんな映画、ドラマでもそうだけど、なんか分からないけど気になることがあって、その謎が、いや楽屋落ちが解き明かされていく過程って、ワクワクする。その気持ちを、すごくつかんでいる。あの37分がホントにワンカットだったかは、この際、どーでもいい情報。
 

誰1人知らないけど、出てきそう


 役者陣もなかなか。誰1人見たことがない人たちだったが、関西弁のプロデューサー役の竹原芳子の怪演、監督役の濱津隆之、その妻役のしゅはまはるみ、みんな好演、いい味を出していた。中でも監督の娘で映画制作者の卵役の真魚は、こだわり派で突っ張り系のおねーちゃんがぴったりはまっていた。皆さん、これからテレビや映画にどんどん出てきそうな予感。監督、役者らのエネルギーが一挙にわき上がっている感じを受ける。

舞台じゃ、あれ無理でしょ


 そういう意味で監督の上田慎一郎も今後、メジャーに出て行くすごい才能の持ち主の可能性がある。とはいえ、「原案」となった舞台の演出者からパクりと言われることには、今後の活躍のことを考えると大きな足かせになりそう。もっとも、同じような筋立てだったとしても、舞台で映画と同じことをするのは不可能。後半の謎解き、楽屋落ちは映像だからなせる技。クレーン代わりの人間ピラミッドは映画ならでは。何だかむなしい戦いに見える。仲立ちして話をまとめるプロデューサーがいたらいいのにと思う。

とんがって角張って


 映画の作りはかなり荒々しい印象を受ける。洗練された作品とは言えないだろう。ただ、「万引き家族」など最近多い、テレビ局とタイアップした作品が、「とんがったり」「突っ張ったりすることが少なく」まるでテレビドラマを見ているような印象を受けるのに比べ、すごく角張った感じがした。映画って元々そんなもの。作り手側のこだわりが時に大ヒットを呼び、時にブーイングを呼ぶ。そんな博打のような世界ではないかと思ってる。子役の親をしかりつける真魚のような職人気質。

 

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