瀬戸内海に安心感
海を本格的に楽しみたいと思って始めたのがシーカヤックだった。2010年、葉山で初体験、その後は、年に1、2回乗っていた。老いたためか運動神経が鈍いのか、上達が遅く、なかなかまっすぐ進めないのが悩みだった。
今回、シーカヤックに乗ったのは世界遺産・宮島の対岸にあるパドルパークというクラブ。葉山とともにほぼ毎年、カヤックに乗っていた。相模湾にこぎ出すため、それなりに外洋の荒々しさがある葉山と違って、瀬戸内海は波も静かで、常に本州側と宮島と2つの陸地が見えるため安心感があった。
午後からの半日ツアー
とはいえ、予約を取る段階からドキドキだった。6月頃からウオーキングを始め、足腰の体力が戻ってきているのはそれなりに実感していた。しかし、シーカヤックのような運動をするのはハードルが高い。それに、1カ月前に39度の高熱が3日続くなど免疫力が未だに弱く、海にちゃぽんと入っていいのか、という不安もあった。連日35度を超えるこの夏の酷暑も熱中症の恐怖がある。
午後からの半日ツアーを予約。麦茶、ポカリスエットを準備した。クラブの人には、がん患者であること、寛解状態で体力は戻っているけど「それなり」であることも伝えた。聞かされても困っちゃうという情報だが、こちらの雰囲気が元気そうなので、さほど心配はしていないようだった。
海へこぎ出す
午後1時過ぎ、いよいよ乗船だ。大潮の干潮のためか、数十センチほどの水深がある船だまりは完全に干上がっており、20センチほどの深さでスタートする。不安があったバランスも、それほど気にならない。まっすぐ進めない癖は相変わらずだが、それを何とかしようとするのに一生懸命で、不安は次第に薄れていった。
気温は35度は超えていたようだが、海の上はそれほどでもない。ただし、直射日光はきついので、小休止の時に帽子に水をくんでは頭からかぶる。
ツアーはインストラクター1人と、私、それにアメリカのニュージャージーから来たという若いカップルの計4人と少なめ。カップルは2人乗り。女性はシーカヤック初体験といっていたが、2人とも問題なく進んでいく。むしろ、まっすぐ進めない私が遅れ気味だ。
鳥居くぐりはできず
約2キロのコースを進み、宮島の鳥居に近づく。普段ならシーカヤックに乗ったまま鳥居をくぐってぐるっと回るのだが、この日はめいっぱいの干潮。鳥居周辺は干上がっており、多くの観光客が周囲を散策している。
海岸の砂浜にカヤックを止め、約1時間の休憩。あまり疲れはないが暑さは気になる。ライフジャケットを外し、水深15センチほどの海に横たわる。海に全身が入るなんてことは絶対無理だと思ってた。でも、今、できているし、やってみれば大したことでもない。すでにプールで泳いでいるか。
心地よい疲れ 帰りは楽
土産物屋に行っていたカップルが戻ってくる。休憩時間の終わりだ。今度は完全に自力で乗船しようと試みる。浅い海で底が完全に着いた状態で、両足をさっと、カヤックの中に押し込む。右手でパドルを海底につきながら、お尻を何度も浮き上げて、海へこぎ出すのだ。これも何とかうまくいって、すっと沖へ向かう。
行きに比べて、全体的に楽だ。これは以前もそうだったけど。まっすぐ進まないのは相変わらず。とうとう慣れてきたカップルの後塵を拝するようになってしまった。
約1時間ほどで戻った。猛烈な暑さは相変わらずだが、熱中症の症状もなく、疲れは心地よい。退院後の不安がまた1つ解消したって感じだ。
日本人にシーカヤック人気は落ち目
ところで、ここ2、3年、サーフボードに乗り、パドルでこいで進むサップが人気となり、シーカヤック人気は落ち目。クラブに来る客は日本人はほとんどいなくなったという。その代わり、8月のウイークデーは外人客で満杯とか。世界遺産を自力で海から眺めるなんて、あまりないこと。外人客が面白がる気持ちもよく分かる。クラブのオーナーが英語ができるのも大きいのかも。
アメリカ人カップルはその前の土曜に来日し、東京、京都、広島と回って月曜日に帰国すると話した。広島は外国人観光客でも、なぜか中国人ではなく、白人が多い。史上最も残虐な婦女子の殺人という原爆投下のことに興味があるのかなあ。
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