グラビアは洋画ポルノ10 3位にディープスロート
単純にベスト10かと思ったら、巻頭から続くグラビアはなんと洋画ポルノベスト10。1位、巨大なる男とジュステーヌ 2位、ナチ収容所・悪魔の生体実験、と全く知らない作品が続く。3位に登場するのが、あの有名な「ディープスロートミスジョンズの背徳」だ。
続いて、なぜか当時ロマンポルノが人気を集めた日活の興収ベスト10が並ぶ。1位は東京エマニュエル夫人、2位は続女の4畳半。
日本映画 2位は実録・阿部定
本誌でようやく日本映画、外国映画のベスト10発表だ。
日本映画は1位、新幹線大爆破 2位、実録・阿部定 3位県警対組織暴力。ワーストは青春の門 同胞、金環蝕の順番だ。
男女の猟奇事件である阿部定をテーマにした作品、仁義なき戦いをヒットさせた深作欣二のやくざ映画。かなり偏った選者のベスト10とはいえ、エロと暴力は好まれていた。1975年、記憶をたぐり寄せても何も出てこないが、ベトナム戦争が米国の敗北で終結した年だったかな。
ペキンパーのバイオレンス映画 外国1位
外国映画は1位、ガルシアの首、2位、愛の嵐 3位ルシアンの青春。ワーストはタワーリングインフェルノ、チャイナタウン、ディープスロート。ガルシアの首はバイオレンス映画の巨匠、サム・ペキンパーの作品。ほとんど頭から消えているが,たぶん、銃弾が飛び交う映画だったのだろう。愛の嵐はナチ収容所の過去を描いた作品。シャーロット・ランブリングが妙に怖い女を演じていたような記憶がある。どちらにしても,エロと暴力だ。
ルーカスもスピルバーグもいなかった
考えてみると、あのころの映画って、ホントに血しぶきと女性のヌードが多かった。ポルノが解禁されるなどの流れがあったためかもしれないが、それにしてもごく市井の人々を描く映画が少ないし,評価されないような気がした。スターウォーズやジョーズなどその後世界の映画界を席巻するジョージ・ルーカスやスティーブン・スピルバーグが登場する直前であり、ダイナミックな作品もまだ登場していなかった。
もっともルーカスやスピルバーグは多くが大人から子供まで楽しめる作品を作った。その点、映画芸術ベスト10は大人、それも男が好きな作品が並んでいる。映画を見るという行為は、まだそういう時代だったのだろう。
ちなみに2017年のベスト1はキネマ旬報と同じ「夜空はいつでも最高密度の青色だ」。ふつーになっちゃかな映画芸術。
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