好業績は変わらず 今期も最高益
東芝のように何か経営上のトラブルがあったわけではない。世界的な好景気とそれに伴う人手不足から工場や倉庫のオートメーション化に対する設備投資意欲は強く、業績は絶好調。2019年3月期、つまり来春の決算では経常利益は14%増で4期連続最高益が見込まれているのだ。それなのになぜか株価だけは下がり続けている。元の木阿弥になってしまうのか。
2017年から急激な上昇
ダイフクの株価は2015年ごろは2000円前後で推移していた。上昇し始めたのは2017年に入ってからで、9月頃には4000円台、11月には6000円台と2倍3倍となり、いずれ1万台とはやし立てる声が相次いだ。
2018年1月、上場来高値も
米長期金利上昇に伴う世界的な株価下落に合わせるように、上場来高値のダイフク株価は滑り落ちるように下がり始める。2月、3月に一時7000円台に戻したものの、下げのトレンドは変わらず、日経平均が反発し始めても、低迷したまま。5月11日の決算発表で上記の業績が示され、わずかに上昇したが、19年3月期の業績見通しがアナリスト予想を下回ったこともあり、下落傾向の歯止めにはならなかった。一気に8000円まで駆け上がった株価上昇は何だったのか。
なぜか好業績なのに大幅下落 リクルート、モノタロウ
株をめぐっては本当によくあることなのだが、時代のトレンドになった業種で好業績に裏付けられた企業の株が猛烈に上昇した後、今度は特に変化がないまま大幅下落していく。業績は悪化したわけでもなく、四半期決算、中間決算の発表でも、予測通りの業績になっているにもかかわらずだ。
同じようなケースを何度か見た経験がある。たとえばリクルート。2017年5月、いきなり10%近くも下落した。グーグルが求人情報ビジネスに乗り出すと発表したことが原因とみられるが、リクルートの株価はまもなく立ち直り、上場来高値を更新中だ。もちろん、この間の業績に変化はない。
工場・工事用間接資材のネット通販会社モノタロウは2017年夏前、4000円近い株価はどんどん下がり、10月頃には3000円を切るまでになった。この間、業績に変化はない。同社は月次の業績を発表しているが、毎月対前年比20%以上という実績が続いた。
トヨタ、アマゾン進出で競争激化懸念
下げるきっかけと言われたのは、アマゾンがモノタロウのように企業向けニーズにも対応すると発表し、「競争激化が嫌気された」と説明されているが、モノタロウ株価は持ち直し、15日終値は4835円と5000円近い株価になっている。
さてダイフクはどうだろう。日経新聞は4月初め、トヨタやアマゾンなどが物流システムの開発に乗り出し、ダイフクの地位が脅かされそうだと報道し、株価上昇に冷や水を浴びせた。ダイフク株下落の一因にもなったと見られるが、今のところ、ダイフクの業績には何の変化もない。
開催が危惧された米朝会談が無事行われ、内実はともあれいわゆる「地政学的なリスク」が減った今、業績通りの相場になりそうな予感もある。とすると、ダイフク株価はリクルート、モノタロウのような道を歩んで再び勢いを取り戻すのか。株の先行き判断はホント難しい。
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