2018年5月25日金曜日

米朝会談中止も日経平均の値動き小幅 胸なで下ろす

 5月24日の午後11時前、テレビで「トランプ大統領が米朝会談中止」のテロップが流れたとき、頭をよぎったのは「明日の東証は暴落だ」だった。朝鮮半島情勢が再び緊迫化し、投資家はリスクが大きい株取引から逃げ出すと思ったからだ。だが、相場はそんな簡単ではなかった。日経平均株価は安く寄り付いたものの、わずか57円安いだけの22380円。間もなくプラスに転じるなど、小幅な値動きに終始した。私のように「下がったらどうしよう」とびびっていた個人投資家の多くは胸をなで下ろしたことだろう。それにしても、相場の先行きを読むことはホントに難しい。

悲観的な投稿のオンパレード


 米朝会談中止を受けて、株のサイトでは「ダメだ」「暴落だ」「どうしよう」などの悲観的な投稿のオンパレード。もちろん、売りあおりの投稿もかなりあるだろうが、多くの人は大幅な下落を予想したはず。ニューヨーク市場は中止の速報後、どんどん下がり始め一時280ドル安となり、シカゴ日経先物も大きく下げ始めた。といって、一般の投資家は日本の夜中にどうすることもできず、じりじりするだけ。「どうしようもない」と言って寝た人も多いだろう。暴落しないことを祈りながら。

ニューヨークは小幅下げ 韓国も値動き少なく


 ところが、朝起きてマーケットを見てみると、NYはひけにかけて持ち直し75ドル安。情勢が緊迫したときに「安定資産」として買われやすい円は、それほど変化なく、円高も進まなかった。東証の日経平均も上記の通り。一番、大きな影響がありそうな韓国の株式市場も小動きだった。

すでに2日で500円以上の下げ 市場は楽観論なのか


 どうしてこんなことになったのか。正直なところ、さっぱり分からない。この数日、北朝鮮が攻撃的な声明を発表し、会談拒否をにおわせる一方、トランプが輸入自動車に対する25%関税を示唆するなど、きな臭い空気が漂い、その影響か、日経平均に限ってみると、23、24日の2日間で500円以上の大幅な下げになっていた。それだけに、2016年の英国のEU離脱の時のような1000円を超える下げも覚悟していたはず。中には25日の寄りつきで空売りを仕掛けたご人もいるだろう。

 さて、この先どうなるのだろう。トランプが金正恩に送ったという書簡や、北朝鮮の反応を見る限り、汚い言葉での非難の応酬という雰囲気はなく「6月12日は無理でも、どこかで会談をするしかない」という双方の思惑のようなものを感じた。どちらかといえば楽観論を感じさせるやり取り。市場はそこを読み取ったのだろうか。北朝鮮情勢が悪化すると、よく「地政学的リスク」という意味不明な説明がなされる。そんなリスクは消えてなくなり、株価の右肩上がりを祈るのみだ。

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