2018年5月15日火曜日

DAC株価、20%上昇でお祭り 好決算発表

 株の世界ではこういうことをお祭りというのだろうか。5月11日の東京株式市場。東証2部上場のネット広告企業DACHD(ホールディングス)の株価は、前日終値から442円高の2635円で取引を終えた。20%を超える値上がり。100株の単位株を持っているだけで、1日に44200円も儲かったことになる(約20%の税金を取られるけど)。株価が乱高下することは時にある。しかし、2部上場企業の株が20%も上がることはめったにない。


経常利益、19年3月期も前期比13・6%増


 その理由というのは、前日10日の取引終了後の決算発表だ。2018年3月期の連結経常利益は前の期比2・4倍の87・9億円に急拡大し、従来予想の72億円を上回った。続く19年3月期も前期比13・6%増の100億円に伸びを見込み、2期連続で過去最高益を更新する見通しとなったことが買いの材料となった。
 と、ここまでなら、当たり前のことが起きたと見えるだろう。大幅な増益の発表があれば株価が上場するのはごくふつーだ。しかし、今年に入ってからの値動きを見ると、どこか変だなと感じさせるところがあるのだ。


出資先にメルカリなど有望企業 決算後、株価上昇


 DACはメルカリと業務提携しているネット企業ユナイテッドが子会社のほか、有望なネット企業の出資先を持ち、本業も順調で株価が上昇し続けてきた。昨年の第1四半期決算発表前の8月3日の終値は1401円だったが、翌8月4日終値は1601円と上昇。同様に第2四半期決算の11月7日終値は1850円が8日終値1988円と決算のたびに上がる傾向があった。もちろん、いずれも好決算を発表している。
 そして2018年が開けて、2月2日の第3四半期決算発表を挟んで2日終値が2334円、週開けて5日終値が2442円。米長期金利の上昇などで日経平均の下落傾向が続く間も株価は上がり続け、3月8日は2710円と上場来高値をつけた。証券会社が目標株価を引き上げるなどの支援材料もあった。

4月以降、株価低迷 決算発表前に買っておけば


 ところが、4月に入って以降、株価は低迷し始める。17日には一時2061円をつけるなど、1カ月ほどの間に600円以上も下げた。5月11日の決算発表前も2100円から2200円台を行ったり来たりの状態だった。
 それがいきなりの20%株価上昇だ。それはだれでもびっくりする。その一方で、この会社の株価のくせを見ると、実は予想通りという見方もできる。というのも、この1年、決算発表のたびに確実に株価は上昇している。その直前の1週間ぐらいの間では下落することが多い。つまり、決算発表前、もっといえば発表当日の引け際に買い集めておけば確実に儲かったと言えるのだ。

株価の動きは意図的?


 くどくどと書いているが、何が言いたいかといえば、この値動き、誰が意図的に動かしてるような雰囲気を感じる。1週間ほど前から空売りをかけて株価を下げ、安く買い集められたところで、決算発表。翌日バク上げで大幅な利益を上げる。さらにメルカリなどの有望出資先を抱え、先行きの見通しがいいことから、爆発的な上げの翌日もさらに上げる。5月14日、DACの株価は一時、前週末の2635円からさらに107円高の上場来高値の2724円をつけた。
 3月8日に2710円をつけており決して不思議な株価ではない。また5月14日の取引終了後、メルカリの東証一部上場が発表されており、そうした動きを先取りしたことで10日の株価は上乗せ分を含め442円という上昇になったといえる。

8月の決算、ひと勝負か


 株の世界では株価を上げたい買いの人たちと、株価を下げたい売りの人たちが自分たちの思惑だけで、あることないことを言いふらす。人間である以上、株価の上げ下げを気にするなというのは、不可能に近い。だから長期に持つことはストレスフルで難しい。しかし、この1年を見る限り、決算発表直前の買いは確実に儲かっている。次の発表は8月の2019年3月期の第1四半期決算。メルカリ上場というイベントも終わっており、株価は爆発か、それとも「噂で買って事実で売り」となっているか、その予測はつかない。しかし決算発表→株価上昇の話はそんな長期の上げ下げとは無縁、発表日1日の取引の話だ。さてひと勝負かけてみますか。

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