2018年5月10日木曜日

「世界一」の朝食を食べてみた 神戸北野ホテル

 朝食の評価って難しい。和食ならご飯、味噌汁、洋食ならパンとコーヒー。ここの食べ物にそれぞれ美味い、まずいはあるだろうが、ファミレスの朝食も高級ホテルの朝飯もそう変わるとは思えない。違いと言えばおかずの数ぐらいか。そんな中で堂々と「世界一」の朝食を打ち出しているのが、神戸北野ホテルだ。ダイニング「 イグレック」。スモール・ラグジュアリー・ホテル協会で「世界一」と賞賛された、フランス料理界の重鎮ベルナール・ロワゾー氏の朝食メニューの提供を受けたのがそう言い切る理由のようだが、実際に食べてみると、確かに美味しい。でも、やっぱ「世界一」は言い過ぎとも思った。

最初にこれが運ばれてきた

しょせんは朝飯 コーヒーがそれなりであれば


 もちろん品数があればいいというものではない。もう20年以上前だがニューヨークの中心部で、ホテル朝食のあまりの高さにフィフスアベニューのデリに入り朝食を食べた。コーヒーのほか、パンやサラダ、ウインナ-、果物などを自分で選ぶ方式で300円~400円ほどと安かったが、どれ1つとして美味しい物はなかった。そんな極端なケースはともかく、しょせんは朝食、コーヒーがそれなりであれば十分かと感じている。

色鮮やか、5種類のジュース


 そこで「世界一」の朝食だ。画像を見ておわかりのように、ボリュームは結構ある。最初に運ばれてくるのは5つの色とりどりのジュースだ。純粋にジュースといえるのは一回り大きなグレープフルーツジュースだけ。あとは野菜ジュース。それぞれいくつかの種類が組み合わされており青臭さがまったくない。よーするに飲むサラダというわけ。ただし、サラダはない。次がパン、コンフィチュール、バター。木箱のような物に入っており、大食いでなければとても食べきれない量だ。


どれから食べよっかな 甘い味付けばかり


 大きなトレイで料理がやってきた。季節のフルーツ、シリアル、タピオカのオーレ、生ハム、紅茶風味のプルーン。それに上からおもりを落としてコツンと殻を割る器具が一緒についてきた半熟卵。コーヒーも運ばれてきた。
 どれから食べるのか一瞬、躊躇する。ご飯といえば、コーヒーにパン、おかずの生ハムか半熟卵か。しかし大きな面積を占めているのは、フルーツにシリアルにプルーンなどデザート系の食べ物だ。あれば甘い物からつまみたくはなる。
 よくよく見てみると、生ハムを除いて、ほぼ全部が甘い味付けだ。パンもフィナンシェが含まれている。うーん「世界一」とは甘い朝ご飯であったか。その昔、欧州を移動した際、ロンドンではアメリカン朝食を腹一杯食べられたのに、パリではコーヒー、クロワッサン、オレンジジュースのコンチネンタル飯でお腹をすかし、ローマでは駐在員に言わせれば「コーヒー牛乳に菓子パン」の朝食に、なんだこれと思ったもの。フランス語圏のジュネーブも同じような物だった。

低糖質の朝ご飯


 この朝食は、コンチネンタルのグレードアップ版ではないのかしら。ホテルのホームページによると、甘い朝ご飯に見えても、糖質をコンビニおにぎり1個以下に抑えた“ロカボ(低糖質)朝食”でとてもヘルシーなのだそうだ。
 とはいってもねえ、と思う。ホテルで泊まるということは、旅先にいるわけで、その先、昼食夕食がどれぐらい食べられるか、実際のところよく分からない状況にある。北野ホテルはオーベルジュ的なコンセプトをお持ちのようだが、神戸でリゾートホテルのように朝昼晩とホテル内で食べることなど想像しがたい。


温かい食べ物欲しいかも


 とすると、朝食はバランスよく組み合わされた暖かくて固形の物が食べたい。冷たくても温野菜でもいいけどかっちりとしたサラダ。ベーコンにウインナー。ミネストローネでもポタージュでも美味しいスープ。かりっと焼いたトーストにフランスパン。半熟卵でもいいけど、オムレツや目玉焼きがないのはなぜ?と思ってしまう。だって、外から食べに来たときのお値段は何と6500円なのだから。パワーブレックファーストなどというレベルの金額ではない。
 ただし、以上は世界一の朝食への非難ではない。なぜかといえば、まずい物など何一つなかったのだから。手をかけ工夫を凝らした食事は見事だった。周囲のお客さんが食べきれないパンをお土産として持って行った姿を見て、こちらも袋に入れてもらった。観光のランチになった。

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