2018年2月9日金曜日

非正規を守る仕組みを 税金取られすぎの恐れ

 先日、確定申告のやり方について訊ねられた。定年後、自力で申告しなければならなくなり、あれこれ知識を増やしたことで聞かれたようだ。そこでびっくりしたのは、年末調整をしないまま放置すると、高い税金を取られてしまうことだった。企業の正社員である限り、年末調整をやってもらえるから何の心配もない。しかし、派遣社員など非正規雇用の場合、申告しなければ、払う必要がない税金がそのままになってしまう。


確定申告はハードル高い


 確定申告をしない方が悪い、自己責任という声もあるだろう。だが、一般の人にとって確定申告は面倒でハードルが高いのも事実。結果的に税金を払いっぱなしなっている人も多い気がした。非正規のように収入が少ない人こそ保護すべきなのに、自己責任論に追い込んでしまうこの国はいったいどうなっているのか。

年収250万円で所得税20万円以上払いすぎ


 相談者から派遣会社からの源泉徴収票を見せられたとき?と思った。派遣社員で収入が250万ほど。所得税が25万、社会保険料が40万弱と記入されていた。実は前年、私は年収が300万ほどだったが所得税は2万円ほどしか払っていなかったからだ。年末調整済みの源泉徴収票を見ると、細かくは分からないが所得控除が250万ほどあり、所得税の対象となる課税所得は数十万ほど。税率は5%なので、上記の結果になったのだ。

 そこで、国税庁のサイトにある確定申告書作成コーナーで相談者の源泉徴収票を使って試算してみた。記入すべき金額と言えば、収入と所得税、社会保険料だけ。その結果、還付額 つまり戻ってくる金額が約21万円になった。所得税は4万ほどでいいという計算だ。

住民税を差し引いても税金戻ってくる


 あくまでもネットで調べた限りの話だが、給与所得者には「給与所得控除」があり、収入が180万円超~360万円以下は、
給与所得控除が収入金額 × 30%%プラス18万円。
当てはめると 250万×30%プラス18万円なので93万円。
これに基礎控除38万円を加えると、131万円。さらに社会保険料40万を加えて171万円が収入から控除される。

 250万円から171万円を引いた79万円が課税所得となった。
課税所得が195万円以下の場合、所得税が5%なので、
79万円×5%=39500円。つまり25万円なんてばかげた所得税を払う必要はないのだ。
 もちろんことはそう甘くはなく、所得税のほかに住民税がある。あらためて試算すると住民税は9万円ほど払わなければならない。それでも差し引き12万円が戻ってくる。月1万ほどの収入になるのだ。

定年後の継続雇用も注意必要


 こうした税金の計算自体に問題があるわけではない。問題はそれがきちんと運用されているかだ。賃金労働者のうち、非正規雇用は4割を超えているという。そのうち何割の人が確定申告をし適正な税金を払っているのか。もしかしたら、相談者のような、放置しておけば年間12万も払いすぎている人が多く発生しているのではないかという疑念だ。  
 さらにいえば、定年後、嘱託や継続雇用となって働き続けている人も、多くは年末調整の対象にならず、放置しているケースが多いのではないか。この人達は定年まで会社におんぶに抱っこの状態。年齢も高く、確定申告のハードルはさらに高い。

 相対的に収入が多い正規雇用の人々の税金は適正で、非正規の人たちは税金を取られすぎ、そんな状態になってはいけないはず。非正規の人たちを守る仕組みをきちんとつくるべきだろう。

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