日が暮れてもいらいらするような暑さが続く8月下旬の平日の大阪・千日前。晩飯に知人から美味しいと聞いたお好み焼き屋「福太郎」を訪れました。店の前には7、8人分の椅子が置いてありますが、いずれも埋まっています。驚くことに聞こえてくる言葉は朝鮮語ばかり。やたら外国人が目立つ千日前のことだから、さもありなんと思いつつ、店の中に入って順番待ちリストに名前を書き込もうとしたら、店の人から言われた言葉が「イエスプリーズ」。生まれて初めて外国人と間違われました。
アンドレさん、キムさん、ワンさん
それから待つこと30分。不思議な感覚に襲われました。何せ待っている客がやたら国際的なのです。朝鮮語ばかりと思ったら、中国語、英語、さらには欧州系の外国語。別の国にいるかのような感じさえします。店の人が待っている客に注文を取りに来るのですが、会話は片言の英語混じり。店の中から呼ばれる客の名前も「アンドレさん」「キムさん」「ワンさん」だったりするのです。お好み焼きなんてローカルな庶民の食べ物が、世界とつながっているのです。待っていると、若い女性が途方に暮れていたので、店の中のリストに名前を書くように教えました。聞いてみると、一人旅の韓国女性。レストランというより、あまりきれいに見えないどこにでもあるお好み焼き屋。海外で不安もあるだろうに、お好み焼きはそんな人でも吸い寄せてしまっているのです。
フワフワ食感、美味しいー
やっとのことで店に入れます。店内は結構広くて、コの字型の鉄板が置かれており、30~40人は入れそうな雰囲気。内側では店の人が忙しく立ち働いています。商売繁盛、いいことです。待っている間に注文していたので、すぐに品が出ます。オーダーしたのは人気ナンバーワンと書かれていた豚玉のお好み焼きでした。
箸で食べることを想像していたのですが、へらで直接、鉄板から食べるって大阪風では初の体験でした。ホットケーキのような厚く硬い食べ物を想像したのですが、一口食べてみると、卵を2、3個使っているのか、かなりフワフワな食感。鉄板も温度が工夫されているのか、焦げることなしに食べられました。ソースも美味しく、ボリュームもほどほどにあり、酒のつまみにしかならないというこちらのイメージとは別物でした。ビールとの相性もよく、とても美味しい食べ物でした。
広島にまけない、美味しい物は美味しいのね
お好み焼きというのは、自分の出身地から広島の食べ物というイメージを持ってました。しかし、食べてみて考え方が一変。美味しい物は美味しいのだと思ってしまいました。ほかの店はどうか知りませんけどね。注意してほしいのは店内は禁煙ではないことです。隣の客がたばこに火をつけると、その向こうにいた女性の外人客が露骨に嫌な顔をしたのです。元喫煙者の私はまったく平気なのですが、これだけ国際的だとちょっと無理かなと感じましたそれと、平日のせいか9時近くになってくると、待ち時間がほとんどなく、すぐに入れるようになりました。ここからは日本のサラリーマン風ばかりでした。
世界進出のチェーンも
美味しくてそれなりにボリュームがあり、すぐに食べられてコストも安い。お好み焼きはイタリアのピザのように、日本を代表する料理に、なーんてことには、なってほしくはないですけどね。ラーメンがそれ風になって外人客が殺到していると聞くけど、世界に本格的に進出するお好み焼きチェーンも登場するかもしれませんね。
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