お尻の下に5、6個の大きな湿疹
朝になると、赤い湿疹は右膝の裏からお尻の下まで広がっていた。そのうち5、6個は1センチぐらいの大きさがある。土曜だったので、すぐに開いていた近所の皮膚科に出かけ、「これは帯状疱疹。しっかりできてるなあ」との診断を受けた。バラシクロビルという、アシクロビルを少しバージョンアップした治療薬が処方された。化膿どめの抗生物質入り塗り薬と痛み止めのビタミンB12も。
すぐに治療薬をのむが、痛みは続く
治療開始は早ければ早いほうがいい、どこにもそう書いてある。だから、家に帰るとバラシクロビルをのみ、2時間しての昼食後も服用、さらに夜ものむ。気分的にはこれで治まると思っていた。ところがその後の展開は全く違った。翌日、さらに翌日と赤い湿疹はどんどん増えていく。右の足の裏、右の脇腹にもぽつんと1つだけできる。4日目ぐらいからは、右の側頭部にきんと痛みが走る。お腹の右側あたりにも時々、きゅんと痛みが繰り返す。その結果、ほとんど動く気がなくなってしまった。座ろうとすると、右のお尻の下側が痛くて座るのがつらい。右足を立て気味にして、お尻を浮かしながら座るのだが、変な姿勢なので今度は腰が痛くなる。結局、寝っ転がるしかないのだ。
「痛い」分かる患者の気持ち
1年半ほど前、長期入院したとき、帯状疱疹の入院患者が1日中、痛い痛いというのを聞いていた。60過ぎの男性患者だが、結構、普段元気なのに突然、痛いという叫び声をあげる。ナースいじりが大好きタイプの人だったので、気を引こうと大げさにしているんだと思っていた。だが、自分がやってみて、あの叫び声の意味が分かった。患部の痛みは叫ぶほどではなかったが、突然やってくる頭痛や腹部の痛みは確かにきつい。「痛た」と言いたくなる。
1週間過ぎて一番つらい時期に 薬はなし
発症1週間ぐらいからは風邪症状も始まった。くしゃみ、のどいた、鼻からは青っぱなも出る。おまけに間断のない右半身の痛み。薬はきちんとのんでいるのに、むしろ状態は悪くなるばかり。ちょうど1週間、再び診察を受ける。「枯れてきました。薬はもう大丈夫」と治療薬投与は打ち切られた。痛み止めと塗り薬は続けるように指示された。
発疹が出て1週間から2週間。この時期が一番きつかった。治療薬の投与はなく、こちらはひたすら寝っ転がって我慢するだけだ。食事を取るにも、短時間しか座ってられないのでできるだけさっと食べる。洋式トイレはひと苦労だ。座ると、便座に患部が当たって痛い。右手を便座の上に置いて、その上に右のお尻を乗せるようにした。立ち上がるときも、患部がすれないように、左手で壁に手を突いて体全体をささえながらでないと、立ち上がれなかった。会社には1週間ほど休めば大丈夫と伝えていたが、とても仕事ができる状態ではなく休みは2週間になった。
帯状疱疹は3週間から1カ月で治まる、ネット情報を信じたが、ことはそう簡単ではなかった。お尻の下にできたために、座ることができず移動も仕事もできなくなった。ほぼ大丈夫と思ったのは1カ月半後。周囲で聞くと、かかった人も2、3週間で治まっており、自分の免疫に自信をなくしてしまった。<!--more-->
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